『少女☆歌劇 レヴュースタァライト』 アニメメイキングセミナー 開催レポート「第1部:監督・演出(90分)」

2019年5月2日

『少女☆歌劇 レヴュースタァライト』 アニメメイキングセミナー 第1部 開催レポート

2019年3月21日(木・祝)、代々木アニメーション学院東京校水道橋新校舎の9Fに設けられた特設会場にて開催された『少女☆歌劇 レヴュースタァライト』 アニメメイキングセミナー、開催レポートを抜粋してお届けします。

「第1部:監督・演出(90分)」と「第2部:映像と音楽制作(90分)」に分けて掲載いたします。

 

「第1部:監督・演出(90分)」

登壇者 : 古川知宏(監督)

MC : 武井風太

<セミナー抜粋レポート>

 

登壇者紹介の後、古川監督は冒頭で、「9人の舞台少女それぞれのキャラクターの魅力を受け取ってもらって愛してもらうこと」、“キャラクターを推し出すこと”が「少女☆歌劇 レヴュースタァライト」の制作においてもっとも重要なテーマだったことを参加者に伝え、そこから各章にわたっての講義が始まりました。

第1章【キャラクター設定】

キャラクター造形(キャラクターコンセプト)

初期企画書やキャラクター原案の元となるスケッチメモなどを見せながら、制作初期に、模索していた方向性や変遷の様子を解説し、キャラの持つ役割や、物語中での行動に沿ったイメージ、キャラ同士の関係性なども想定しながら、それらを併せてキャラクター造形が進められていった様子を実例の絵素材を見せながら説明していただきました。表情設定用の監督メモ、それを経て作成された表情設定の初期案など、テイスト・方向性が段階的に詰められていく様子も含めて語っていただきました。また特に、オリジナル作品をつくる上で、キャラクターに「共感性」や「一般性」を持たせることがもっとも大切な要素だと解説し、制作の途上でも常に注意していたことをお話いただきました。

 

衣装設定

オリジナルコンテンツを制作する上でキャラクターの“シルエット”を決めることは重要であることに触れ、ロングショットでもわかりやすい、アウトラインだけでイメージが伝わるような衣装デザインを目指したていたという説明に加えて、オリジナルキャラクターの訴求力を高める原動力として、「コスプレイヤーに着てもらえる」「Twitterなどに、らくがき投稿をたくさんしてもらえる」ことも大切だと意識していたというお話もありました。

デザインとしては、2層式展開の一方である「舞台」で映えることも念頭に置きながら、わかりやすくするために既視感のある類型(例えば軍服)の中にありながら、その中での新しさや違いを示すために、ほぼアニメでは取り上げられたことのないと思われるユサール(中近世のポーランド騎兵の軍服デザイン)をモチーフにして、華麗な衣装デザインをつくりあげていったことも解説していただきました。

 

キャラクター設定では、このほか、 「“アタシ再生産”“This is 天堂真矢”“ポジションゼロ”などのわかりやすいキャッチワードを多数創作していることについての重要性」、「私服・部屋等の設定案」の解説が、資料を参照しながら行われました。

 

第2章【世界観・コンセプトづくり】

具体例として、「東京タワー」やレビューの場となる「舞台案づくり」、また「砂漠」や「砂浜」のイメージボードの解説があり、象徴的な構造物自体を作品の“キャラクター”のひとつとして位置付け、制作初期からその設定を思案していたプロセスについて解説がありました。

中でも、 作品を特徴化するために取り組んだ技術、「舞台」を象徴する代表的な例として「 3D照明(ライト)」に着目したことをあげ、この制作試案の動画を参加者にも見せて、通常のアニメーション制作に於いてほかに例を見ることがないと思われる、立体的な照明(ライト)を3Dによって描き出す手法を考案したことに触れました。この3D照明(ライト)の制作と、キャラクター(華恋)の舞うような作画とのマッチングによって、作品をイメージ付けする動的ビジュアルを完成させ、映像インパクトを出すことを実現させたという解説があり、参加者のみなさんの間からも賛同を示す大きな拍手が沸き上がりました。

 

第3章【絵コンテ】

「絵コンテとは、キャラクターの感情やキャラクターの魅力を、見ている人への届け方、どういうルートを通ってどこへ向かへばいいのかを示す地図のようなもの」という古川監督の持論の説明があったあとに、監督が絵コンテ制作時によく行う方法だという「ホワイトボードを使った絵コンテの制作」を実際の様子通りに檀上で再現して見せてくれました。

初回レヴューシーンの絵コンテ(コピー)が、ホワイトボードに再現され(貼り付け)、監督自らがボードの前に立って、絵コンテをつくるにあたってのプロセスを教えてくれました。①どうやってキャラクターの感情やアクションを見せたらいいのか考え② レヴュでの必要な要素を全部書き出して並べてホワイトボートに貼る ③ 切ったり貼ったりを繰り返し、それぞれの要素の順や扱いをどんどんシャッフルした上に、収まる形が見えてくるということを説明いただきました。

同時にこのアナログな方法は、ホワイトボードの面積が広いことで全体を総覧して流れを引きで見ることができること、複数の人が同時に見ることができるなど、互いの意見交換や意図の伝達がはかられ、各制作スタッフが方向性を自然に共有化できる効用も多いと解説がありました。机の上やディスプレイ上同じ作業をしようとしても、視野が狭くなりやすく、同じような効果を期待するのは難しいという話も付け加えてくれました。

 

古川監督は、終始軽妙なトークをまじえて間断なく笑いを誘いながら、明快なコンセプトが貫かれていることを実例を通じて説明を加えながら、本作の制作における数多くのポイントを解説していただきました。

 

「第1部:監督・演出(90分)」(おわり)

「第2部:映像と音楽制作(90分)」へ続く。

『少女☆歌劇 レヴュースタァライト』 アニメメイキングセミナー 開催レポート「第2部:映像と音楽制作(90分)」 


講師詳細

古川知宏  Furukawa Tomohiro 
アニメーション監督
スタジオグラフィティ出身、アニメーターとしてキャリアをスタート。『戦姫絶唱シンフォギア』(2012年)『ONE PIECE FILM Z』(2012年)では、原画、作画監督補などを担当。幾原邦彦監督の『輪るピングドラム』(2011年)では、絵コンテ、原画に携わり、『ユリ熊嵐』(2015年)にて副監督を務める。本作 『少女☆歌劇 レヴュースタァライト』(2018年)が初監督作品。


山田公平  Yamada Kohei
音楽ディレクター/プロデューサー
アップライツ/アップドリーム代表。楽曲制作、レーベル、マネジメントなど、各方面から音楽制作に関わり、2006年にアップドリームの前身会社アップライツを設立。様々な分野の音楽制作を扱うが、アニソン、劇伴など、アニメーションに関係する音楽制作に数多くの実績を持つ。音楽制作参加アニメ作品では『結城友奈は勇者である』『ラブライブ!シリーズ』『ACCA13区監察課』『SSSS.GRIDMAN』。アーティストでは「三森すずこ」「神谷浩史」「下野紘」「入野自由」などこれまで1,500曲以上の歌曲と100作品以上の劇伴制作に携わる。本作『少女☆歌劇レヴュースタァライト』では音楽制作のキーパーソンとして、劇伴・劇中歌のディレクションを担う。

中村彼方  Nakamura Kanata   
劇中戯曲脚本・劇中歌作詞
作詞家、プロデューサー。少女時代『GENIE』『Gee』、ももいろクローバーZ 『天手力男』等POPSの作詞ほか、『けいおん!』キャラクターソング、『結城友奈は勇者である』シリーズ作詞など、数多くのアニソン作詞も手掛けている。本作 『少女☆歌劇 レヴュースタァライト』では劇中戯曲脚本、オープニングテーマ曲、エンディングテーマ曲、劇中歌の作詞、前日譚となる「レヴュースタァライト オーバーチュア』脚本を担当。

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