足立慎吾 総作画監督『SAO』メイキングセミナー開催 プレセミナー・インタビュー(前編)

2017年5月18日

  • キャラクターデザイン
  • アニメーター

総作画監督・キャラクタデザイナーの足立慎吾さんが、学生時代に取り組んでいたこと、アニメの未来についてや、アニメをつくる喜びについて語ってくれました!

-足立さんが「アニメーター」を志したきっかけを教えてください。

 

足立さん:実のところ、目指していたわけではないんですよ。就職活動がうまくいかずどうしようかと思っていたら、アニメーターの先輩からうちにこないかって誘われたのがきっかけですね。当時は今ほど情報を手に入れやすい時代ではなかったのですが、それでもアニメ業界は厳しい…ということを知っていたので正直悩みました。でも、他に選択肢もなかったし、とりあえず挑戦してみようという、今思うと消極的理由だったかもしれませんね。

 

 

-足立さんが好きなアニメ、影響を受けたアニメ作品を教えてください。

 

足立さん:アニメを作ることを始めた大学生の頃から、とにかく特徴的な動きの作品やアニメーターが好きでした。

「ご先祖様万々歳」や「くじらのピーク」のうつのみや理さんの絵や作品が好きでしたし、テレビだと『幽☆遊☆白書』の若林厚史さんのアクションなどに興奮してましたね。

 

90年代のテレビシリーズは作画監督によって大きく絵柄が変わるので、個性的な絵を描いているアニメーターの仕事に影響を受けたと思います。

OVAの「the八犬伝」などは回によって全く作風が違ってて、どの回もアニメーターの個性が輝いていて大好きでした。

 

 

 

-アニメーター、キャラクターデザイナーになるために役立った、若いころの経験や趣味などはありますか?

 

足立さん:人に自慢できるような趣味があるわけでもなく、ゲームやアニメが好きなだけでしたよ(笑

高校生の頃に友達と遊んでいたTRPGで、使いもしないキャラクターをひたすら作っては絵を描くことが好きでした。

今でもキャラクターの容姿や服装を考えている時が、一番絵を描いていて楽しいと感じるのは、その経験があるからかもしれませんね。

 

大学時代に友人たちと過ごした時間はすごく大きな影響があったと思います。高校までの友人付き合いと比べて濃密で、同じく絵を描く人と寝食を共にするような生活の中に身を置けたことは刺激的なよい時間だったと思います。

 

作風も考え方も様々な絵を描く人間がいたので、学ぶことは多かったですね。当時の友人とは今でも付き合いがありますし、何か壁にぶつかったときに、アイツだったらどうやるかなぁなんて考えたりもしますね。

 

アニメに限ったことではないと思いますが、「友人」は大切ですよ。

 

 

 

-「アニメ」という表現手法について、足立さんが考える「強み」「魅力」を教えてください。

 

足立さん:かつてはアニメだけが持っていた「強み」や「魅力」も今は3DCGで表現可能で、独特な表現というものは無いかもしれませんね。

今はもう、絵が動くなんてことには視聴者はいちいち驚いたりしませんから。

だからこそ、これからはリアルを目指してきたアニメとは別の、手描きの本来の自由な絵作りの魅力を考えなければなりませんね。

 

あえてアニメの「魅力」といえば、映像分野の中では比較的クリエイターの個性が作品に届きやすい環境にある事と、

作品本数が多いことでそういった個性を発揮するチャンスが多い事が「強み」と言えるかもしれません。

 

 

 

-アニメーター、キャラクターデザイナーの喜び、やりがいとは何ですか?

 

足立さん:僕は自分のやっている仕事についてあまり自信を持っているわけではありません。描いている時は本当に苦しいし、全て納得して送り出せているわけでもないので、反省することも多いです。でも、そんな作品を好きだと言ってくれる人がいることは、照れくさいけど本当にうれしいことで、また次も描こうという力になります。

 

また、最近はそうしたファンがインターネットによって日本だけでなく、世界中にいることにも驚かされます。遠い国の子供が、自分が作った作品を大好きだと言ってくれるというのは本当にすごいことだと思います。

 

アニメは、多くのスタッフと一つの作品を作るものですから、苦楽を共にして成功も失敗も共有できるスタッフがいることもアニメ制作の醍醐味だと思いますよ。

 

(インタビュー前編おわり)

(後編へ続きます)


講師詳細

足立慎吾

総作画監督・キャラクターデザイン

大阪芸術大学卒。
『ロックマンエグゼBEAST+』で初めてキャラクターデザインを担当し、『WORKING!!(1期~3期)』、『ソードアート・オンライン』シリーズ、『ガリレイドンナ』といった人気作でキャラクターデザイン・総作画監督を務め大きな話題を呼ぶ。
また『ロックマンエグゼBEAST+』、『今日の5の2』OP、『フラクタル』では絵コンテも担当。

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